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伊集院静著「大人の流儀」を読んで [本・コミック]

誕生日にお義母さんから伊集院静著「大人の流儀」という
本をいただきました。

読後の感想をば書きたいと思います。

恥ずかしながら、伊集院静という作家は知っていても、
特にその人となりを知っているわけではないので、
この本を前にしても、「初対面」の人の講釈を聞いている
ような印象を受けました。最初は。

元々、週刊現代に連載されていたエッセイをまとめた
ものとのことなので、まとまりがあるようで、あまり
ないなぁという感じを受けました。

「大人の流儀」というから、どんな小難しい話が書いて
あるのだろうと思いましたが、例えが悪いかもしれませんが、
なんていうか、飲み屋で飲んだくれたオヤジの愚痴や説教を
聞いているかのような内容でした。

そもそも、氏がたしなんでいる、酒・たばこ・ギャンブル
というものを、僕が一切たしなんでいないという点で、
感情移入が出来ないというのが、大きな壁なのかも
しれません。

そんなわけで、「まぁ、そういう考え方もあるよな」
程度に、読み進んでいたわけです。

でもね。
この本には、実はカラクリがありました。

最後まで読むと分かるのですが、この本の最後の数ページに、
氏が愛した、前妻の夏目雅子さんにまつわる手記があるんです。

この本の文章量で言うと、一割程度かもしれませんが、
むしろ、その手記がこの本のメインなのではないかと思います。

そして「大人の流儀」として書かれたエッセイは、この前妻と
過ごした日々の手記の、いわば照れ隠しのようなものなのでは
ないかとも思えました。

そして、僕が飲み屋で飲んだくれたオヤジの愚痴や説教みたいと
感じた理由も、最後の手記を読むと、妙に納得して受け入れて
しまうものへと変化しました。

氏にとって、最愛の妻との別れというものは、耐え難いもの
だったのですね。そして、長い歳月を経て、ようやくその頃の
ことを文章に書くことができるようになったと言ってはいる
ものの、決して前には進んでいないことが分かります。

時間が止まったままなんですね。

それでも、こうやって、なんとかみっともなく生きてきた。
生きてこられたのは、周りのみんなのおかげだ。

そんな感謝の気持ちを、この本を通して言いたかったのでは
ないかなと思います。

そこで、ふと、お義母さんが、どうしてこの本を誕生日に
プレゼントしてくれたのかな?と思いました。

ああ、そうか。
結局、僕も氏と同じで、まだ前に進んでいないんだな。

父親の死から1年以上経っていて、このごろ自分では、
もう大丈夫と立ち直ったように思っているのだけれども、
周りの人からみたら、まだまだ元気が足りないのだろうな。

だから、心配させてしまうのだろうな。

でもね。

結局のところ、元には戻らないんだろうなと思うんですよね。

時間の経過とともに、何かしら感情の変化はあるのだろう
けど、それが薄まるということは無いと思うんです。
だって、毎日考えない日は無いんだもの。
思い出さない日は無いんだもの。

けれども、その変化の仕方が大事なんだろうな。

僕なりの流儀を見つけ出したら、それが分かる頃には、
「大人」になったと言えるのかな。

大人の流儀

大人の流儀

  • 作者: 伊集院 静
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/03/19
  • メディア: 単行本



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コメント 8

ろくさい

飲み屋で飲んだくれたオヤジ様の説教ほど体力を使うものはないですよね(笑)
飲食店で働いてらたからわかりますw
話しが一方的に絡んでくるかと思ったら、急に問答みたいになったり…。
でもなんとなく話覚えてるんですよね。
私も父と同じ年の方をみると今でも悲しくなる時がありますが、
前よりもその悲しみは飲み込まないようにしてます。
飲み込み溜め込んだ後が辛いですもんね。
感情は出して、泣いて、悲しみが少しとけるまでゆっくり考えてから
思考を切り替えたりしてます。
立ち止まる事はまだあっても、きっと
前に踏み出させてくれるとも
思ってます。
家族パワーも貰って、一回りおーきな
さなぎんさんになれますよっ。
特に長女ちゃんのパワー凄そうですw
夏目雅子さんキレイですよね~♡
西遊記はおヒョイさんと夏目雅子さん
狙いで見てました(笑)
by ろくさい (2011-04-18 20:46) 

サナギン

●ろくさいさん

こんにちは(^^)

>飲み屋で飲んだくれたオヤジ様の説教ほど体力を
>使うものはないですよね(笑)
>飲食店で働いてらたからわかりますw

(笑)それは苦労しましたね~
押し問答みたいな感じでぐるぐる回りますよね。
結局何が言いたいの!?みたいな感じでね(^^;)

>感情は出して、泣いて、悲しみが少しとけるまで
>ゆっくり考えてから思考を切り替えたりしてます。

思考の切り替えは大事ですね。
ネガティブなスパイラルに陥る前に、ポジティブに
転換できればと常に思ってます。難しいですが。

>立ち止まる事はまだあっても、きっと
>前に踏み出させてくれるとも
>思ってます。

そうですね。
僕もそう思って、毎日生きてます(^^)
父の遺影に向かって、イエイ!ってね(笑)

>家族パワーも貰って、一回りおーきな
>さなぎんさんになれますよっ。
>特に長女ちゃんのパワー凄そうですw

あ~、彼女のパワーはすごいですね~
なんていうか、天然?ですね、あれは(笑)
あのまま進めば、将来は大物です。

>夏目雅子さんキレイですよね~?
>西遊記はおヒョイさんと夏目雅子さん
>狙いで見てました(笑)

西遊記、懐かしい・・・。
初めてあのドラマを見た時に、実際の三蔵法師が
男性だったことを知らなかったので、三蔵法師は
女性だと思い込んでしまってました。
後になって、知った時には恥ずかしかったナ。

僕はマチャアキ狙いでしたねw

あと、エンディングのガンダーラを聞くと、子供心に
妙に寂しくなってしまったんですよね。
英語の歌詞の部分は適当に覚えてましたけどね(笑)
ギンガンダーラ ガンダーラ
センセーイットワーズイーンディア
って(笑)

まぁ、当たらずとも遠からずみたいな感じかな?
by サナギン (2011-04-21 14:38) 

凛

伊集院さんのモノは数点読みましたが、居眠り先生がベストでしょう。

かの有名な阿佐田哲也氏との交流を元に小説として語った名作です。

伊集院静氏自身が幼少期から精神分裂症の気があるとかで、幻覚症状に悩まされていて阿佐田哲也氏との分裂病対決は異色の出来です。

ま、伊集院静氏自体が麻薬中毒、博打中毒、アルコール中毒なのでとても一般の人に説教出来る人ではないと私は思っていますが^^

ま、小説として読めば許せるのでは?ないでしょうか?


by 凛 (2011-08-21 21:40) 

サナギン

●凛さん

こんにちは(^^)

>伊集院さんのモノは数点読みましたが、居眠り先生がベストでしょう。

「いねむり先生」まだ読んでいないんですよ。
本屋で見かけて気になってはいたのですが。
そうですか、ベストですか!
読まなければなりませんね(^^)

>ま、伊集院静氏自体が麻薬中毒、博打中毒、アルコール中毒
>なのでとても一般の人に説教出来る人ではないと私は思って
>いますが^^
>ま、小説として読めば許せるのでは?ないでしょうか?

(笑)なるほど、そういう解釈もアリですね(^^)
確かに小説であれば一応架空の人物設定として
読めますものね。
by サナギン (2011-08-22 10:05) 

読者

「大人の流儀」とか「流儀」モノのエッセーはもちろんノンフィクションですが、ちょっとこの先、大丈夫なのかこの作家というくらい、いろいろと乱れるときがありますね...

http://www.amezor.to/media/book/
直木賞選考委員、伊集院静進退の流儀

http://mimizun.com/log/2ch/mnewsplus/1210509972/
【訃報】骨髄移植を啓発、夏目雅子さんの母・小達スエさん死去


by 読者 (2012-02-12 02:17) 

サナギン

●読者さん

そうですね。
なんていうか、情緒不安定なところは多々ありますよね。
それが魅力という見方もあるのかもしれませんが(^^;)
by サナギン (2012-02-13 10:31) 

ひすやん

ここに、コメントしているような、人生経験の浅い人間には一生読めないだろうね。理解出来ないと書けば良いだけのことじゃないか?
by ひすやん (2012-02-29 22:07) 

サナギン

●ひすやんさん

まだまだ経験不足で申し訳ありませんm(_ _)m
by サナギン (2012-03-01 09:34) 

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